うつ病とは

健康

世界では約2億8千万人がうつ病を患っています。

全人口の約3.8%がうつ病を経験しており、これには成人の5%(男性4%、女性6%)、60歳以上の成人の5.7%が含まれます。

うつ病は、男性よりも女性の方が約2倍多く見られます。世界中で、妊婦と出産したばかりの女性の10%以上がうつ病を経験しています。

また毎年70万人以上が自殺で亡くなっています。自殺は15~29歳の死亡原因の第4位です。   

WHO抜粋

日本では300~600万人程の患者がいると言われています。

世界的に見ても深刻な健康危機ですが、まだまだ軽視されており明確に有効な治療法や療養の理解が追い付いていません。

病院でうつ病と診断され、治療を進めているが改善しない、うつ病だと思うけど病院へは行きたくない、職場でうつ病を公表したが社会的評価が下がった様な感覚がある、など悩みは尽きることがないと感じます。

そもそもうつ病である時点で能力が著しく低下し、すべてが上手くいかない感覚があります。筆者もその一人でした。

そんなうつ病で悩んでいる人のほんの一助になればと思い記事を作成します。

うつ病の症状

ずっと気分が落ち込んでいる     
何をしても楽しめない
眠れない
食欲がない
疲れやすい
抑うつ
不安
意欲低下
・興味・関心の喪失
・自責感
・自殺念慮(自分自身で能動的に人生を終わらせたいとする考え)
・思考抑制

上記の様な症状が一般的に見受けられます。私も抑うつ症状以外すべて該当しました。

うつ病のメカニズム

うつ病の原因はストレスです。
現在の医学では完全に発生機序を確定させるに至っていない状態ですが
様々な研究からストレスによって生じるうつ病への有力な機序は4つあると考えられています。

①神経伝達物質の減少
ストレスにより脳内の脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減少してしまい、神経伝達が上手くいかない事により発症する。

②コルチゾールの増加

ストレスにより副腎からコルチゾールというホルモンが多く分泌され、脳の海馬(記憶に関与する脳内の部位)の体積が減少したり、神経細胞が新しく生まれることが抑制されてしまうことで発症する。

③BDNF(脳由来神経栄養因子)の減少

※BDNFは脳に広く分布するタンパク質の一種で、神経細胞の発生や成長、維持、修復、再生を促す働きがあり、学習や記憶、情動、などにも重要な役割を果たしています。BDNFは脳内で記憶を司る海馬に多く含まれており、神経細胞の動きを活発化させる役割があります。ストレスにより減少すると記憶力や認知機能が低下します。

④炎症性サイトカインの増加

ストレスによりミクログリア細胞(脳内環境の維持・調整に関与する細胞)か炎症性サイトカインが分泌され、脳内が炎症を起こし発症する。

これらの4要素が複合し発症するのではないかと考えられています。
図にしてみるとこんな感じです↓

ストレスの原因

ストレスの原因については以下の4つの項目が特に重要です。

①ネガティブな出来事

うつ病はネガティブな出来事の後に発症することが多いです。人間関係、仕事、暴力、事故、病気、災害、様々なネガティブな要因が急性または慢性的に影響し発症します。

博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査によるとストレスを感じやすい原因は

1位 職場(学校)での人間関係  36.7%
2位 「自分の将来のこと」    31.0%
3位 「家庭での人間関係」    30.9%

となっています。

ストレスからの脱却には根本改善が望ましいですが、当事者からしたらどれも難しい内容に感じると思います。また原因となっていた問題が解決しても気分が回復せず、仕事や学校へ行けなくなったり、普段できていたことができなくなったりと、日常の生活に大きな支障が生じることがあります。

②不健康な食事

不健康な食事はストレス耐性を低下させ、うつ病発症リスクを高めます。

例えば、葉酸や鉄分といった葉物野菜やレバーに多く含まれる栄養素は「うつ病発症のメカニズム」で紹介した神経伝達物質(ドーパミンやセロトニン)などの合成に必要な栄養素です。不足すれば合成できる量も減るため、ストレスに弱い状態となります。

また国立がん研究センターなどの調査によると果物をよく食べている人では、もっとも少ない人に比べ、うつ病のリスクが0.34倍に減少するとしています。果物に含まれる天然由来成分による、抗酸化作用などの生物学的作用が、うつ病の発症に対して予防的に働いた可能性が考えられています。

③睡眠不足

慢性睡眠不足がうつ病につながる可能性があるとされています。

神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)の調節が乱れる可能性がある。また炎症性サイトカインの増加やホルモン(コルチゾール)の不均衡につながる可能性があり、どちらもうつ病の発症に関係しています。

逆に良質な睡眠はこれらの神経伝達物質やホルモンの調節を整え、ストレスに強い状態を作ってくれます。

④運動不足

UCL大学(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)の研究によると有酸素運動能力と筋力が低い人はうつ病を発症する可能性が約2倍であることが明らかとなりました。

また、BMC Medicineに掲載された研究結果によると、7年間の追跡調査で、運動不足は気持ちが不安になる可能性が60%高くなることも予測されました。

有酸素運動と筋力が低い人は、全体的な運動レベルが高い人に比べて、うつ病になる確率が 98%、不安になる確率が 60%、一般的な精神疾患のいずれかになる確率が 81% 高かったそうです。

運動を習慣化することでうつ病の改善、発症リスクを下げることができます。

これらの4要素については別記事で詳しく解説したいと思います。

(参) National Library of Medicine https://www.ncbi.nlm.nih.gov

   Columbia University Irving Medical Center https://www.columbiapsychiatry.org

   Nature https://www.nature.com/

コメント

タイトルとURLをコピーしました